父親へのプレゼントがネタ切れして久しい

父親が再雇用も終えて退職するというのでプレゼントを探している。

母親はまだなんとなく欲しいものがわかるが父親の欲しいものがわからない。これまでに定番はハンカチも靴下もお酒もコーヒーもお菓子もだいたいあげてしまった。両親は一軒家からマンションへの引っ越しを控えており、家具も食器も細々したものも必死に整理しているところだろう。だからといって旅行券や体験ギフトは感染症が落ち着くまでは気が引ける。花は会社でもらったんじゃないだろうか。そういえばSwitchを母にあげようと思っていたが既に買ってリングフィットアドベンチャードラクエに励んでいるらしい。

とりあえずスマートスピーカーApple Watchがほしいかどうか聞いてみようかと思う。Apple Watchは医療機器として承認もされ高齢者の健康管理に役立ちそうで、しかし高齢者になってから使いはじめるとたいへんだからいまのうちから使っておくといいかもしれない。

「退職祝い 父親」などの検索ワードでたどり着く「お父さんに贈る退職祝い○選!」的なサイトでメッセージギフトというのが紹介されていた。親へのプレゼント界には想像以上にいろいろなものがあるとおののいた。(男性用)が青で(女性用)が赤なのもじわじわくる。

なにかのタイミングで、この種のメッセージギフトを祖母からもらったことがある。私と妹に向けて、どこかで見つけたよいと思った言葉を祖母が自分で書いたものだったと思う。実家のそれぞれの部屋の扉にかけられたまま誰も捨てられずにいるが、それらもきっと引っ越しを機に処分されるだろう。

ちなみに親へのプレゼント界でかなりイケてるものとして「還暦フィギュア」がある。学生時代、先生の還暦祝いにゼミ生たちでこれを作って贈った。

www.myfigure.jp

インターネットは遠きにありて思ふもの

マッチングアプリでメッセージを交換した人に「インターネットにいそう」と言われた。その人とは何度かやりとりをしたが結局会うことはなかった。

会ったこともない人への「インターネットにいそう」、悪口ではないかと思いつつ、たとえば『花束みたいな恋をした』のふたりはtwitterやインスタはやっているのだろうが「インターネットにいそう」ではない。そんなことを言われたのは、気の合わない人となるべく会わないために威嚇的なプロフィールにしていたせいかもしれない。

ふみコミュニティ生まれで同人サイトとはてなダイアリー育ちの私もすっかりインターネット老人会の一員である。自転車で15分かかるTSUTAYAヴィレヴァンが最大の文化スポットである郊外で中学校にも高校にも馴染めずインターネットにのめり込み、二次創作のイラストを描き受験日記を書いてはせっせと公開していた。インターネットで出会った人と現実で会うことはとびきりの非日常に感じられた。進学し上京したときには舞い上がって同人サイトやはてなダイアリーでつながっていたいろいろな人と会った。そこから10年以上が経っていまやtwitterをやろうがマッチングアプリをやろうがブログを書こうが何もかもが現実と地続きで、〈ここではない世界〉としてのインターネットはノスタルジーのなかだけにある。

インターネットのフロンティア感の名残りはいまLINEオープンチャットにあるかもしれない。去年入ってみた文鳥のオープンチャットでは中学生が帰宅の報告や部活の話をしている。

コミケのない年、結婚して転職して引っ越し

お題「#この1年の変化

2020年は生活上の大きな変化が重なった年だった。生活しかすることがないが、生活にすることがあったので、ぐずぐずしつつも生き延びてきた。

結婚した

3月に結婚した。姓は私が変えた。自分がどう呼ばれようととくに気にならないが、身分証明書に旧姓を併記するために戸籍謄本が必要で戸籍謄本を取得するためには本籍地の……と調べているときに夫がゴンブリッチという美術史家の話をしてきたときには私もゴンブリッチの話のほうがしたいと思った。

式や披露宴などもともとするつもりがなく、社会情勢的にどれもするつもりがないと表明することもなくなった。結婚指輪は秋頃に買った。当初かなり抵抗感があったが、自分で選んだかわいい指輪がつねに指にあるのは単純に気分がいい。社会的な意味合いが薄れたらもっといいのだが。

婚姻届を出してその足で行ったタテルヨシノは11月に閉店してしまった。

転職した

数日だけ有給消化して前職を退社し、新職場は4月1日が初出社。まもなく緊急事態宣言が出て、1Kの部屋でデスクとちゃぶ台を交代で使用しながら在宅勤務することになった。

このころ文字ばかりの本は読めなかった。Switchを買うために1か月くらい毎日Amazonに張り付き、満を持してポケモンとリングフィットアドベンチャーを始めた。動物のお医者さんが無料公開されていたのを機に、これまで読んだことのない名作漫画を読もうと、ハンターハンターカイジやアカギや鬼滅の刃約束のネバーランドゴールデンカムイ進撃の巨人を読んだ。ぴよ将棋というアプリで将棋も始めた。

転職先は伝統的に労働組合が強いらしく、労働条件的にかなり恵まれている。そして出社してもオフィスで誰も怒鳴っていない。

引っ越しした

この世で私のもっとも好きなことの一つが物件探しであり、もっとも苦手なことの一つが引っ越しの準備である。SUUMOをひたすら眺める日々のあと、建設中で内見もできないマンションの最後の一部屋に決めた。建設中だから時間的には普通の物件への引っ越しより余裕があったがそれでも準備はつらかった。バリューブックスとサマリーポケットがなければ引っ越しできなかっただろう。

それまで住んでいた横浜から、東京の東側いわゆる下町へ。小さなお店が多く、寺や公園もあり、近所を歩いているだけで気が紛れる。大きめのスーパーがすぐそばにあるのもうれしい。いままで最寄りのスーパーがまいばすけっとであったことがどれほど心を苦しめていたかを思い知った。

引っ越しに合わせて食洗機を買った。在宅勤務時代の必需品。

自転車を買った

引っ越してから秋冬になるにつれ自転車が欲しくなった。クロスバイク入門的なものを買うことも頭をよぎったが、どれくらい長く乗るかもわからないのでとりあえず安いものをと、あさひのミニベロ、クリームミニ(楽天で買って店舗で受け取る)にした。

自転車を持つのは4年半ぶり。前に乗っていた自転車はドンキで買った適当なママチャリで、横浜へ引っ越すときに捨てるつもりだったが、退去立ち会いに来た管理会社のおじさんが欲しいと言ったのでそのままあげた。あとから新居に菓子折りが届いた。

自転車に乗るたびに地下鉄に規定されていた想像力が解放され、東京が更新される思いがする。日本橋や丸の内、銀座も近所と思えるようになった。最高。

item.rakuten.co.jp

タダで髪を切ってくれた人が「歴11年 店長」に

もう4か月髪を切っていない。

10年以上前、はじめて上京したときは下北沢に住んでいた。下北沢駅前や渋谷駅井の頭線の改札でよく美容師さんに声をかけられ、かけられるままにカットモデルをしていた。

基本的にカットは無料、カラーやパーマも1000円くらいでできたし、閉店後や開店前の美容室の様子を見られるのも面白かった。髪型ははじめから決まっていることも、ある程度スタイルを変えることが条件のことも、自由のこともあった。カットが終わり、チェックをする役の先輩美容師が私の髪を一通り触ったあと、「初めてうまくできたね!」と担当に言うという恐怖体験などもあった。

モデルは単発のことが多かったが、ある日声をかけてくれた美容師さんのモデルは3年くらい続けた。自分では選ばないような、いわゆるイケメンに囲まれて髪を切りたい人向けのような美容室で、正規の料金は高めだった。その人がスタイリストとしてデビューするときには、月の売上のノルマがあるというので、学生の身で2万円かけてカットとカラーとトリートメントをした。まだ足りないというので月末にトリートメントだけしにもう一度行った。何年もタダで切ってもらっていたことを思えば安いものだが、ホストクラブとはこういう感じなのかと思った。担当と呼ぶのも同じだし。

恩もあり慣れているから気楽で技術もある(切ってもらった数日後、知らない人に百貨店のトイレで髪型を褒められたことがある)がいかんせん料金が高いので、その後は2回に1回その美容室に行くことにしていた。行くといつもトリートメントをこっそりサービスしてくれた。

少し遠くへ引っ越したのを機にその美容室へは行かなくなり、ホットペッパーで適当に探した美容室を初回クーポンで渡り歩いていた。再度引っ越しをして今ならまた通えるかとその店舗のページを見てみたが彼の名前はなかった。辞めてしまったのかもしれないと思って別の美容室へ行った。

そして4か月、いつ髪を切ろうかと考えてばかりの数週間を過ごし、今日ようやく思いついてその美容師さんの名前で検索した。2年前に独立していて、なんと私の住んでいる駅の一つ隣にお店を構えていることがわかった。4年ぶりにメッセージを送り、来週の土曜日に予約をした。

二度と会えない推しにプリザーブドフラワーを

ストリップ劇場には花がある。

劇場前には各踊り子の出演やデビュー○周年、誕生日を祝うスタンド花が出ている。同じ踊り子を応援する客同士で協賛して出したものだ。お祝いごとのイベントではしばしば踊り子へのプレゼントの時間が設けられ、そこで渡された花束を最後にステージに並べて記念写真を撮る。イベントのない普通の日でも、踊り子さんに花束を手渡す客がいるとほかの客が拍手をする風習がある。浅草ロック座にも舞台上の踊り子に花束を渡す風習が数年前まであった。私も渡したことがある。

差し入れとしては現金や必需品のほうが喜ばれるに決まっているが、何を贈るかは結局は客のエゴである。そのうえで花は、誰がどう選んでも美しく、そして消えていくところがいい。各出演者の出演期間(「週」と呼ばれる10日間)の楽屋を飾り、ときおり部屋を飾り、ある程度時間が経てば枯れていく。スタンド花はたいていの場合は造花で枯れることはないが、その週がすぎれば撤去される。ストリップにかぎらずさまざまな芸能で花が贈られるのは、舞台というものと花との相性がいいからだろう。

消えていくのが花のいいところなのに、一度だけプリザーブドフラワーを渡したことがある。ストリップで私が最初に好きになった踊り子さんが突然劇場から引退してしまったあと、最後に設けられた撮影会だった。

きっともう二度と会えない人への贈り物。感謝を伝えると同時に、彼女がこれからの生活でときどき目を向け、この日々のことをポジティブに思い出せるようなものがいいと考えた。それも含めて自分史上もっともエゴ丸出しのプレゼントである。

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小ぶりでガラスドームに入ったプリザーブドフラワーを選んだ。ステージでの印象とはまるでちがってピンクでキラキラしたものが好きな人だった。

いまだ整理できていないままのこの日のフォルダには、ほとんど裸でこの花を持って泣いている彼女の写真が何枚もある。撮影会は劇場では一言しか話せない踊り子と長く話せるというファン向けのイベントの意味合いが強く、写真を撮るばかりではないようだが、よくわかっていない私はそのために友人にカメラを借り、律儀にずっと写真を撮っていたのだった。

在宅ティータイムの充実に向けて

在宅勤務を乗り切るためにはお菓子と飲み物が不可欠だ。おいしいものの覚え書き。

フルーツアンドシーズンのフルーツサンド

ボリューミーだけど罪悪感少なめのフルーツサンド。パイナップルとりんごを食べた。かわいい見た目に毎日食べたいやさしいおいしさで、生クリームが苦手な私もおいしく食べられた。いまは機会がないが手土産にも絶対いい。

fruitsandseason.com

ル・ショコラ・アラン・デュカスのピスタチオのタブレット

2月は出かけるたびにチョコを買っていたがそのなかでいちばん好きだった。上品さと止まらなさが絶妙に同居していて、何日もかけて大事に食べるつもりがすぐなくなった。日本橋にある東京工房は作っているところがガラス張りになっていて楽しい。アフタヌーンティーもあるらしい。

lechocolat-alainducasse.jp

リンツのリンドール

言わずとしれたおいしいチョコ。季節のフレーバーもあり、店舗で味を選んで袋詰めするのが楽しい。が、買って帰って気がつくと8割くらいは同居人が食べている。

マリアージュフレール

お正月にマリアージュフレールの福袋を買った。缶入の紅茶が2種類(フレンチブレックファスト、1854)、袋入が4種類(アメリカンブレックファスト、アールグレイインペリアル、島々のヴァニラ、セイロンラトナピュラ)入って1万円だった。紅茶の種類についてこれまでさっぱりだったけど6種類を順に飲んでいくとさすがに違いがわかってきた。毎日飲んで福袋で買った分はもうすぐなくなりそう。

福袋とは別に、銀座本店のカフェに行ったらいかにも紅茶のオタクといった店員さんが説明してくれた。なんでもその道のオタクに説明してもらうとうれしくなる。

ブルーボトルコーヒー

ブルーボトルコーヒーが好きだ。飲み会や旅行に比べたらタダみたいなもんだと自分に言い聞かせ、かなり気軽に行っている。そこでコーヒー豆も買った。これまで飲んでいたのは楽天で買った100袋入りくらいのドリップコーヒーで、それに比べて格段においしい。ただ世の中には他にもおいしいコーヒー豆はありそうだ。

ブルーボトルコーヒー ボールド ブレンド

ブルーボトルコーヒー ボールド ブレンド

  • 発売日: 2020/09/01
  • メディア: 食品&飲料
 

以前家でコーヒーをいれるのに使っていたフレンチプレスは最近すっかり紅茶用になり、タリーズで見かけたワンカップコーヒーメーカーというのを買った。あとから見たらロゴが入っていないだけで同じものがAmazonで売っていた。

HARIO (ハリオ) ワンカップコーヒーメーカー 170ml 1人用 OCM-1-B

HARIO (ハリオ) ワンカップコーヒーメーカー 170ml 1人用 OCM-1-B

  • 発売日: 2019/01/30
  • メディア: ホーム&キッチン
 

コロナで生活しかすることがなくなってiDeCoとNISAを始めた話

劇場へ行くことが激減し、人と会うこともなくなって久しく、生活しかすることがない。年末年始のころはもっとふさぎこんでいて何か気分の上がるものはないかと紅茶、シャワージェル、基礎化粧品など買い集め、もう当分なくならないくらいになってしまった。

去年の春に転職をして給料が上がった。そしたらとくに何もしなくても貯金が増えていくようになった。それまでもそれなりに暮らしていると感じていたが、いま思えばまあそれなりに貧しかったのだ。

銀行の諸々の手続きをしたのをきっかけに、両親が貯めていてくれた定期預金+αの口座にいくら入っているかを初めて知った。自分の貯金の4倍だった。さすがにこれは何かしら有意義に使わなくてはと思い、たとえばマンション購入の頭金? ということで本を読んだり物件情報を見たりしていたが、東京の家、高すぎる。築50年とかでも普通に高い。

東京で家を買うなら

東京で家を買うなら

  • 作者:後藤 一仁
  • 発売日: 2019/12/27
  • メディア: 単行本
 

で、具体的なあれこれはともかく、文京区のなるべく駅チカの2LDKの中古マンションを買ってリノベして暮らすという希望を抱いた。そのために、というかこれから不安なく暮らしていくために、まずはできることをしよう。夏くらいに取り寄せたきり総務に書類を持って行くのが億劫で放置していたiDeCoをようやく申込み、ついでにつみたてNISAも始めた。

お金のことがまあまあ得意で賃金労働者でありながらこまめな財テクを駆使して娘二人に進学と一人暮らしをさせ家族旅行なども挟みつつ貯金まで残してくれた親。ありがとう。自分にそのようなことができるだろうかといえばたぶん無理だろう。そして同居人(口座の残高が52円だったことがあるらしい)はお金のことが私よりさらに苦手に見える。とにかく、できるだけお金のことを考えず、しかしお金に困ることなく生活していきたい。

ということでこれも読んだ。お金とほどよく付き合っていこう。資本主義が空気のようにあるこの世で。