会いに行く

 多くのストリップ劇場では、踊り子さんのステージの後にポラロイド撮影の時間がある。500円か1000円で踊り子さんの写真を撮れるというもの。これは、アイドルの握手会やチェキの撮影のような、コミュニケーションの時間になっている。ちなみにポラ代は劇場の収入となり、踊り子さんへは入らないらしい。

 一人あたりは短い時間だが、ステージの感想を伝えたり、新しい髪型を褒めたり、twitterやブログに触れたり、いろいろな会話がされている。また、そのとき話している一人だけでなく、そこでの会話を場内みんなで楽しむような雰囲気がある。

 このときに差し入れをするお客さんもいる。シートマスクやリラックスグッズ(休足時間が多い…気がする)、食べ物、お酒などさまざま。もちろん手紙や心付けも。女の子の喜びそうな、ロクシタンボディショップジェラートピケなどの紙袋を渡している人もいて、心温まる。その他、シールやポラ袋などストリップならではの差し入れもある。

 撮った写真を預けて、サインとメッセージを書いてもらうこともできる(基本的にはその踊り子さんの次の出番のときに返却)。これがとてもうれしい。

 ストリップではかなり踊り子さんとお客さんの距離が近く、アイドルでいう認知(=顔や名前を覚えてもらうこと)も比較的すぐにしてもらえる。もちろん踊り子さんにもよるだろうし女性客が珍しいことも大きいだろうけど、私の推しは、2度目にはもう「また来てくれた」と言ってくれた。名前も呼んでくれるし、「いつもありがとう」「また会いに来てね」「待ってたよ」、好きな子にこんなこと言われてうれしくないはずがない! こうしてずぶずぶと沼にハマることになる。

 踊り子さんをおいかけていろいろな劇場へ行くと、少しずつ、この人は私と同じ踊り子さんを好きなんだなというお客さんがわかってくる。

 ある日、ステージ中、何度も劇場で見かけているお客さんの顔が、ふとした瞬間見えた。まるで好きな人を見る眼で盆上の踊り子さんを見つめていた。わかるよその気持ち、と、胸が熱くなった。その人がポラタイムに彼女に言った言葉、「なかなか会いに来れなくてごめん」。そう、これこそストリップ劇場よ……。